「墓じまいのお布施はどうするの?」
「どのくらい包めば?」
「お布施はどうやって渡せば?」
墓じまいの時に困ってしまうもののひとつに、お寺へのお布施があります。
墓じまいにしろ、葬儀にしろ、めったにない経験なのでどうすれば良いのか悩んでしまいますよね。
結論から言うと、墓じまいで行われる閉眼供養のお布施は3~5万円位が相場です。
墓じまいには僧侶にお経をあげてもらう閉眼供養がおこなわれ、その際に必要になるのがお布施です。
そこで、お布施を渡す意味や表書きの書き方、渡し方、包み方など、書き方の見本をまじえて解説します。
お布施にはお布施のマナーがあります
参考:墓じまいの方法
- 墓じまいのお布施の相場や金額について理解できる
- お布施の表書きやのし袋の書き方、選び方がわかる
- お布施を渡すタイミングや正しいマナーを学べる
- 浄土真宗など宗派ごとの違いや石屋さんへのお礼の必要性が理解できる
墓じまいでのお布施の基本情報と相場
- お布施とは?墓じまいに必要?
- 香典とお布施の違い
- 墓じまいのお布施の種類
- 相場と金額
- お布施以外にお寺に渡すお金
- 曹洞宗や浄土真宗など、宗派の違いは?
- 永代供養や散骨の場合は?
- 石屋さんへのお礼も必要?その相場とは?
お布施とは?墓じまいに必要?
お布施とは、僧侶にお経をあげてもらったり、供養をしてもらった際に渡すお金です。
ただし、お布施は単なる料金ではなく、お寺や御本尊様への感謝の気持ちを表すもので、対価ではありません。
なのでお布施は僧侶に渡すものではなくて、お寺や御本尊にお供えするものなのです。(参考:wikipedia)
墓じまいの際には、お墓から魂を抜く「閉眼供養」という儀式で、僧侶にお経をあげてもらいます。
その御礼に、感謝の気持をお布施で渡すわけです。
なので、お布施に入れるお札は新札がおすすめです。⇒お札の入れ方はこちら
お布施とは、仏教の修行法「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の一つであり、「見返りを求めず、人のために行う善行」を表すものです。単に金銭に限らず、人に施しを与えるという広い意味を持ちます。
六波羅蜜には、お布施の他にも「持戒」「精進」「忍辱」「禅定」「智慧」の6つの徳があります。また、お布施は以下の3つに分類されます:
- 財施(ざいせ): お金や食べ物、衣服など物質的なものを施すこと
- 法施(ほうせ): 仏教の教えを説いたり、読経すること
- 無畏施(むいせ): 不安や恐怖を取り除き、安心感を与えること
僧侶は信者に対して法施を行い、その御礼として信者はお寺に財施を行います。これがお布施という考え方です。(参考:日蓮宗本松寺)
香典とお布施の違い
お布施とよく間違えられるもののひとつに、香典があります。
香典とお布施は、どちらも葬儀や法事の際に関わるお金ですが、目的と相手が異なります。
香典とは、故人に対して供えるお金のことで、葬儀や告別式の際に遺族に渡されます。
一方、お布施は、僧侶に渡すものであり、葬儀や供養でお経をあげてもらった際に感謝の気持ちの現れです。
ただし、僧侶の収入になるわけではなく、お寺への寄付的なものです。
お寺は宗教法人で営利団体ではないです。
墓じまいのお布施の種類
墓じまいに関わるお布施には、主に3つの種類があります。
- 閉眼供養
- 離檀料
- 開眼供養
「閉眼供養」は、お墓から魂を抜くという意味があり、僧侶に読経を依頼します。これに対するお布施を渡します。
「離檀料」は、お墓をなくして檀家をやめるときのもので、いままでの感謝の意味のお布施です。
「開眼供養」は、移転先としてのお墓を建てた時に新たに魂を込める儀式で、僧侶に読経を依頼しお布施を渡します。
相場と金額
墓じまいのお布施の相場は、地域や宗派、お寺によって変わってきますが、おおよそ次のような金額です。
- 閉眼供養 ~3万円
- 離檀料 ~10万円
- 開眼供養 ~3万円
お寺との関係性にもよります。先祖代々からかなりお世話になってきたら高いですし、ネットで見つけた僧侶はあらかじめ決められてる場合が多いです。
「お布施はいくらですか?」と聞いても、「お気持ちで」と曖昧に答えられます。
これは、お布施の本来の意味が喜捨の精神でいただけるものなので、金額を言ってしまうと料金になってしまい、お布施ではなくなってしまうからです。
ですから、実はお布施はいくらでも良いのです。
とはいえ、始めてお布施を出すときにはさっぱりわかりませんので、次のように聞いてみましょう。
- 「他の檀家さんはどうされてますか?」と聞く
- 親戚に聞いてみる
- 「以前、父親や祖父はどのくらいでしたか?」と聞く
お布施以外にお寺に渡すお金
墓じまいの際には、お布施以外にも僧侶に払うお金があります。
- 御車代
- 御膳料
「御車代」は、僧侶が車などの交通機関を使って来る場合に、交通費として渡すお金です。相場は5,000円から1万円程度で、移動距離に応じて増減することがあります。
「御膳料」は、法要後に会食が用意されているときに、僧侶が参加しない場合に渡すお金です。こちらも5,000円から1万円程度が相場です。
もし僧侶が会食に参加したり会食そのものがないときには、御膳料を別途渡す必要はありません。
墓じまいのあとに会食するご家族は少ないです
曹洞宗や浄土真宗など、宗派の違いは?
日本の伝統的な仏教には十三宗五十六派があります。
- 法相宗
- 律宗
- 華厳宗
- 真言宗
- 天台宗
- 日蓮宗
- 浄土宗
- 浄土真宗
- 融通念仏宗
- 時宗
- 臨済宗
- 曹洞宗
- 黄檗宗
ほとんどの宗派で閉眼供養や開眼供養がありますが、浄土真宗には「魂」とか「霊」「供養」という概念がないので、閉眼供養はありません。
そのかわり、「入仏法要」と「遷仏法要」があり、同様にお布施が必要になります。
ちなみに、浄土真宗では人がなくなるとすぐに仏様になり、すぐに極楽浄土に旅立ちます。喪中もないです
永代供養や散骨の場合は?
お寺で永代供養を選択する場合、お寺によりますが、永代供養料の中にお布施が含まれてるので基本的に不要です。
霊園で永代供養(合葬墓や樹木葬)を選択するときには、法要は行われないので不要です。
散骨の場合も法要をするご家族は少ないです。
ただし、法要をしてはいけないというものではないので、僧侶を呼んで法要を行うときには、お布施が必要です。
供養先にかならず確認しましょう
散骨:永代供養のやり方
石屋さんへのお礼も必要?その相場とは?
墓じまいの際、石材店に依頼してお墓を解体・撤去することになりますが、石材店へのお礼は基本的には不要です。
石材店には依頼した作業に対して費用を支払うため、別途お礼を包む必要はないとされています。
解体費用自体にすべての作業代が含まれているためです。
墓じまいのお布施の準備とマナー
- 渡し方の作法
- 封筒やのし袋の選び方
- 表書きの書き方
- 裏書きの書き方
- 金額の書き方
- お布施を渡す法要とは?
- お札の入れ方
- 金額は地域で異なる?
- よくある質問
渡し方の作法
お布施は「切手盆」と呼ばれる小さな黒塗りのお盆に載せて渡すのが正式な作法ですが、切手盆がない場合は、畳んだ袱紗(ふくさ)の上に乗せて渡します。
直接手渡しをせず、袱紗から丁寧に取り出して切手盆や袱紗に乗せるのが大事です。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは、供養が始まる前か、供養が終わった後が適切です。
法要の前には、かならず僧侶と話をしますので、その終わり際に「本日はよろしくお願いいたします」と言いながら渡します。
もしも忙しくて渡せなかったら、法要後に「本日はありがとうございました」といった感謝の言葉を添えて渡します。
お布施の包み方
お布施を包む袱紗にも包み方があります。
- 袱紗を爪が左側に来るようにして、裏側を上にしてひし形に置く
- 袱紗の中央からやや右にお布施袋を表書きを上に向けて置く
- 右→下→上→左の順に袱紗を畳んでお布施を包む
- はみ出た左端の布を裏側へ折るか留め糸に爪をかける
お布施の渡し方
お布施を取り出すときには、上記とは逆に袱紗から取り出します。
取り出したお布施を切手盆の上か、折りたたんだ袱紗の上に、封筒の表側(「御布施」と書かれた部分)をまず自分が読める向きで置きます。
その後、僧侶から読める向きに回して差し出します。
お布施の封筒をそのまま手渡しするのはマナー違反で、何かの上に乗せて渡すのがマナーです。
封筒やのし袋の選び方
基本的に、お布施は「不祝儀袋」か白い封筒(郵便番号がないもの)に包むのが基本です。
不祝儀袋は文房具店やコンビニ、100均などで簡単に手に入れることができます。
特にこだわりがない場合は、「御布施」と印刷された封筒を使うと便利です。
表書きの書き方
お布施の表書きには「御布施」とか「お布施」と書くのが基本です。
封筒の中央上部に縦書きで「御布施」と書き、その下に自分の名字や「○○家」を記載します。
使用するペンは、濃い墨(筆ペンや普通の黒ペン)です。
宗教によって表書きは違います。例えば、神道では「御祭祀料」、キリスト教では「献金」や「御礼」です。
裏書きの書き方
お布施の裏側には、差出人の氏名や住所、金額を記載します。
中袋がある場合には、金額を中袋の表面に、差出人の氏名や住所を中袋の裏面に書きます。
金額にもお布施独特の書き方があります
金額の書き方
金額は旧字体の漢数字(壱、弐、参、拾など)を使って書き、「金 壱萬圓也」といった形式で記載します。
- 1 ⇒ 壱
- 2 ⇒ 弐
- 3 ⇒ 参
- 5 ⇒ 伍
- 6 ⇒ 六
- 7 ⇒ 七
- 8 ⇒ 八
- 10 ⇒ 拾
- 百 ⇒ 百
- 千 ⇒ 阡
- 万 ⇒ 萬
- 円 ⇒ 圓
- なり ⇒ 也
表には「4」と「9」がありませんが、どちらも弔事・慶事ともに使ってはいけない数字なので載せてません。
お布施を渡す法要とは?
墓じまいでお布施を渡す法要は、基本的に次の4種類です。
- 閉眼供養
- 開眼供養
- 納骨法要
- 離檀
開眼供養・閉眼供養
閉眼供養は墓石から魂を抜く儀式で、開眼供養は新しい墓石に魂を入れる儀式です。
浄土真宗では閉眼供養はなく、遷仏法要になりますが、流れは同じです。
納骨法要
あたらしいお墓を作って、そちらに引っ越す場合には開眼供養した後に納骨法要が行われるのが多いです。
その際にもお布施は必要ですが、一般的には2つ用意するのではなくて、2倍の金額を包むと良いとされています。
その場合には、お寺にまず確認したほうが良いです。
離檀料
離檀料という言葉は最近作られたもので、元からあるものではないです。
最後の仏事に、これまでお世話になった寺院に対して感謝の気持ちを表すために、お布施に上乗せして渡したお金がそう呼ばれたのかもしれません。
なので、墓じまいをしてお寺を離れる場合には、いままでのお礼や感謝の気持ちでお布施をするのが一般的です。
このお布施は、一般的に10万円くらいだと言われています。協賛金の10年分くらいです。
渡すタイミングは墓じまいした後に「これまでありがとうございました」と言葉を添えて渡すのが良いタイミングです。
感謝してなければ、払う必要はないです
お札の入れ方
お布施の袋へいれるお札は、新札を用意すると良いとされています。
お寺や御本尊様にお礼として差し上げるものだからです。
お札を封筒に入れる際には、肖像画が表向きで、かつ上にくるように入れます。
複数のお札の場合は、すべて同じ向きに揃えて入れます。
金額は地域で異なる?
お布施の金額は、地域やお寺、さらには僧侶との関係性によって異なります。
一般的な墓じまいのお布施の相場としては、3万円くらいが目安とされています。
ですが、地方やお寺の格式、あるいは長年の付き合いがある場合には、10万円以上を包むケースもあります。
お布施の額を決める際には、親族や知人に相談したり、僧侶に直接「みなさんどれくらい包まれていますか?」と聞いてみるのも一つの方法です。
よくある質問
Q1: お布施の金額に明確な決まりはありますか?
お布施の金額には明確なルールはありません。あくまでお寺や仏様への「感謝の気持ち」を表すものとして渡すため、金額は僧侶から「お気持ちで」と言われることがほとんどです。ただし、一般的には3万円くらいが目安とされています。⇒ お布施の金額
Q2: お布施は新札?それとも古いお札?
お布施は、新札を用意することが望ましいです。これは、仏様への感謝の気持ちを表すためであり、事前にしっかり準備したことを示す意味があります。お葬式の香典とは違い、新札で問題ありません。⇒ お布施とは?
Q3: お布施と一緒に渡すべきものはありますか?
お布施以外にも、御車代(交通費)や御膳料(会食代)が必要になる場合があります。これらは別々の封筒に包み、お布施とは分けて渡すのが一般的です。⇒ お布施以外は?
参考:墓じまいのやり方
まとめ:墓じまいのお布施
この記事のまとめです。
- 墓じまいにはお布施が必要
- 金額は3万円くらいが妥当
- お布施は僧侶に渡すのではなく、お寺や御本尊への感謝の気持ちを表す
- お布施は閉眼供養を行う際に必要
- お布施は新札を使うのが望ましい
- 閉眼供養ではお墓から魂を抜く儀式が行われる
- お布施は感謝の気持ちとして渡すもの
- お布施を渡すときは袱紗や切手盆に乗せて渡す
- 表書きは「御布施」と書くのが基本
- 裏書きには氏名や金額を記載する
- 曹洞宗や浄土真宗でもお布施は必要だが、宗派によって異なる
- 御車代や御膳料が必要になる場合がある
- 石材店へのお礼は基本的に不要だが、心づけを渡すこともある
- 永代供養や散骨の場合は、お布施が不要な場合が多い
- お布施は親戚や僧侶に相談して金額を決めると良い
- お布施の金額は地域や宗派によって異なる
- 香典は故人に対して供えるお金で、お布施とは異なる
- 離檀料も感謝の気持ちとして渡す
最後まで読んでいただきありがとうございました!
厚労省:墓地、埋葬等に関する法律の概要